いろいろな病気に間違われやすい甲状腺の病気
本日は甲状腺についての話をしようと思います。
バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍などの病名を耳にしたことがある方もいるかと思います。
体のどこにある臓器?甲状腺の病気はどんな症状が出る?自分の症状はひょっとしたら甲状腺の病気?
などなど、簡単にご紹介できたらと思います。
①甲状腺とは…どこにあるの?どんな機能?
【甲状腺の位置】
のどぼとけの下にあり、体表から触れることの可能な臓器です。
男性は女性よりのどぼとけの高さが低いため、甲状腺も下寄りになります。
4~5cm大、厚さ1~2cm、15~20gの臓器です。
【甲状腺ホルモンの働き】
体温調節、エネルギー代謝(糖代謝、脂質代謝)、心拍数調節、胃腸、脳の発達・活性化、といろいろな役割のあるホルモンです。
②甲状腺の病気の種類
■甲状腺ホルモンの分泌が異常になる病気
甲状腺中毒症
甲状腺ホルモンが多く出過ぎる病気(甲状腺機能亢進症と甲状腺炎と合わせて、広義の甲状腺機能亢進症と呼ばれることが多いです)
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甲状腺機能亢進症
甲状腺でホルモンが作られ過ぎる病気
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バセドウ病
自己免疫の異常により、甲状腺を刺激する自己抗体ができることにより、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される
【治療】抗甲状腺薬(メルカゾール、チウラジール)アイソトープ、手術 - プランマー病
甲状腺にできた結節(しこり)から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される
【治療】アイソトープ、手術
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バセドウ病
自己免疫の異常により、甲状腺を刺激する自己抗体ができることにより、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される
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甲状腺炎
甲状腺組織の損傷によりホルモンが血液にもれ出ることで、ホルモンが増える病気
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無痛性甲状腺炎
橋本病がベースにあることが多く、甲状腺濾胞(ろほう)破壊にて、甲状腺ホルモンが放出される
【治療】経過観察(自然寛解→機能低下になる場合あり) - 亜急性甲状腺炎
甲状腺に炎症が起き、首の痛みや発熱を伴う
【治療】経過観察(痛みが続く場合はステロイド)
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無痛性甲状腺炎
橋本病がベースにあることが多く、甲状腺濾胞(ろほう)破壊にて、甲状腺ホルモンが放出される
甲状腺機能低下症
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橋本病(慢性甲状腺炎)
自己免疫の異常により甲状腺が腫れて炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下
【治療】チラーヂン(甲状腺ホルモン)補充 -
術後甲状腺機能低下症
甲状腺の手術後のため甲状腺ホルモンの分泌が低下している状態
【治療】チラーヂン補充
■甲状腺の中に結節(しこり、腫瘤)ができる病気
良性
濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫
悪性
乳頭がん(甲状腺がんの9割、進行がゆっくりな危険度が低いタイプが多い)、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、リンパ腫
※当院では、採血と甲状腺エコーによる診察を行なっております。
甲状腺穿刺細胞診(甲状腺に針を刺し細胞を採取し、顕微鏡検査で両制悪性の判断をつける検査)はしておりません。
甲状腺エコーを行い悪性が疑わしい場合は、専門病院に紹介させていただきます。
③甲状腺ホルモンが増えたとき、減ったときの症状は?
甲状腺が活発に活動し、血中に甲状腺ホルモンが多く分泌されると「甲状腺機能亢進症」という病気になります。
甲状腺のはたらきが悪くなって、甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなると「甲状腺機能低下症」という病気になります。
■甲状腺機能亢進症の症状
| 新陳代謝活発・エネルギーを消費しやすい | 体温上昇、汗かき、食欲旺盛、体重減少、だるい、コレステロール低下 |
|---|---|
| 心臓が働き過ぎる | 心拍数増加(頻脈)、不整脈、高血圧 |
| 胃腸が活発に動く | 下痢、血糖上昇(腸から栄養の吸収が速くなり血液中の糖が一時的に増える) |
| 手足・筋肉・骨などの異常 | 手足のこまかいふるえ(バセドウ病の70%の方にみられます)、筋力低下、周期性四肢麻痺(突然手足の筋肉が数時間動かせなくなる、骨粗しょう症 |
| 皮膚・頭皮の異常 | かゆみ、脱毛 |
| 月経の異常 | 月経不順、無月経、不妊 |
| 精神面の異常 | イライラ、短気、早口、集中力低下、不眠 |
| 眼球突出 | 目の筋肉や脂肪に炎症が起き、炎症のために腫れて内圧が上がります。そうすると眼球が前へ押し出され、眼球突出という目が飛び出る状態が起こります。甲状腺機能亢進症でも眼球突出しない方もいます。 |
■甲状腺機能低下症の症状
| 新陳代謝低下・エネルギーを消費しにくい | 体重増加、むくみ、コレステロール上昇、寒がりになる、汗をかきにくい |
|---|---|
| 心臓の動きがゆっくりになる | 心拍数低下(徐脈) |
| 胃腸の動きがゆっくりになる | 便秘 |
| 筋肉の異常 | こむら返り |
| 皮膚・頭皮の異常 | 発汗低下の影響で乾燥しやすい、脱毛 |
| 月経の異常 | 月経過多、無月経、不妊 |
| 精神面の異常 | 意欲の低下、うつ、もの忘れ、眠気 |
だるい、疲れやすい、脱毛、月経異常などが共通する症状となります。
他の症状に関しては、ほぼ逆の症状と覚えると分かりやすくなります。
④他の病気と間違われる場合がある
甲状腺の病気は以下の病気と間違えられる場合があります。
| 症 状 | 間違われる病気 |
|---|---|
| 動悸・息切れ | 心臓疾患 |
| むくみ | 腎臓疾患 |
| 体重減少 | がん |
| もの忘れ | 認知症 |
| だるい、無気力 | うつ病 |
| 食後高血糖 | 糖尿病 |
| 様々な不調症状 | 更年期障害、 自律神経失調症など |
甲状腺の検査・治療を受けていただくことで…
甲状腺機能低下症で、甲状腺ホルモンの補充療法を受けていただくと、うつ症状が改善する、コレステロールが下がる甲状腺機能亢進症の治療で、心房細動が改善する
といった体調改善できる場合があります。
気になることがございましたら、お気軽にご相談、ご来院をお待ちしております。
