※本記事は2023年に公開された内容をもとに、2025年現在の情報を加筆・修正しています。
肥満外来(旧:ダイエット外来)をはじめました
【追記あり】に最新の情報や注意点等、内容を更新・加筆しました。 新しい情報は記事中盤の「肥満症治療薬としてのGLP-1」セクションをご確認ください。
当院ではから肥満外来(旧:ダイエット外来/保険診療)を始めました。
※自由診療に関しては、現時点では対応しておりませんのでご了承ください。
「体重を減らしたい」「中年太りしてきた」「体型が気になる」という方は多くいらっしゃるかと思います。
「何kgくらいをやせる目標にしたら良いか?」「治療法は?」「GLP-1ダイエットって最近よく聞くけど?」など気になられるかと思います。
本日は主に下記5点についてお話させていただきます(各項目をクリックすると該当の箇所まで移動します)。
①肥満症とは?
【肥満症と肥満とメタボの違い】
肥満症、肥満、メタボリックシンドローム、同じような響きですが、違うものになります。
| 肥満 | ||
|---|---|---|
| BMI≧25 | ||
| 肥満症 | ||
| BMI≧25 | + | 下記健康障害のうち、どれか1つ以上当てはまる 1. 耐糖能異常(2型糖尿病・耐糖能異常) 2. 脂質異常症 3. 高血圧 4. 高尿酸血症、痛風 5. 冠動脈疾患:心筋梗塞、狭心症 6. 脳梗塞:脳血栓症、一過性脳虚血発作 7. 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患) 8. 月経異常、不妊 9. 睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群 10.運動器疾患:変形性関節症、変形性脊椎症 11.肥満関連腎臓病 or 腹囲 男性:85cm以上 内臓脂肪型肥満 女性:90cm以上 |
| メタボリックシンドローム | ||
| 腹囲 男性:85cm以上 女性:90cm以上 |
+ | 下記のうちどれか2つ以上当てはまる 中性脂肪:150mg/dlかつ/またはHDLコレステロール40mg/dl未満 血圧:130/85mmHg以上 空腹時血糖:110mg/dl以上 |
②内分泌疾患による肥満とは?
【原発性肥満と二次性肥満】
<原発性肥満>
特に原因となる基礎疾患がなく、生活習慣が原因のもの
<二次性肥満>
肥満の原因となる基礎疾患が明らかなもの
二次性肥満には、内分泌性肥満(クッシング症候群、甲状腺機能低下症)、遺伝性肥満、薬剤(ステロイドなど)による肥満があります。
内分泌性肥満の場合、身体所見、採血、画像所見を行い診断します。クッシング症候群、甲状腺機能低下症とはどのような病気か、また別の機会でお話します。
当院で検査可能です。気になる方がいらっしゃいましたらご来院お待ちしております。
③減量目標は?
【目標体重】
肥満症治療の基本は減量です。
治療の目的はBMI を25以下にすることではなく、内臓脂肪を減らして肥満の合併疾患を改善、予防することとなります。
肥満症に含まれる11種の疾患は、減量により改善が見込まれる疾患です。
1~3%の減量→脂質異常症、HbA1c、肝機能改善
3~5%の減量→血圧、空腹時血糖、尿酸値改善
と報告されており、肥満症の減量目標はまず3%以上とされています。
BMI35以上の高度肥満症の場合、5~10%の減量目標が妥当と考えられています。
心不全や呼吸不全などの重篤な疾患を持つ高度肥満症の場合は、10%以上の減量を目指し肥満外科手術(胃を小さくする手術等)も考慮されます。
④治療法、GLP-1
治療に関しての流れは図1に示します。
【食事療法】
・25kcal/標準体重/日以下のカロリー摂取が望ましい。
・フォーミュラ食活用も検討。
フォーミュラ食とは、カロリー制限を必要とする方向けに開発した200kcal/袋程度のドリンク(ゼリー、食事タイプもある)タイプ食事代替食品です。
肥満の原因となる糖質、脂質が極力少なく、必要十分量のたんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランス良く配合したものです。
当院で販売、斡旋を行ってはおりませんが、一食置き換えなどでダイエットに有用な場合もあります。
詳しくは、フォーミュラ食で検索してください。
【運動療法】
有酸素運動(ウォーキング)にレジスタンス運動(筋力トレーニング)を組み合わせると効果的です。筋力トレーニングには減量中の筋肉量の減少を抑制する効果があります。
【薬物療法】
◾️マジンドール(商品名『サノレックス®』)
食欲中枢を抑制し、食欲抑制作用のある薬剤となります。日本での多施設二重盲検試験で3ヶ月の治療で平均4.2kgの減量結果が得られています。
適応はBMI35以上、3ヶ月が処方限度となる薬剤です。
◾️防風通聖散
漢方薬である防風通聖散は、白色脂肪組織(いわゆる脂肪)の脂肪分解作用と褐色脂肪組織(脂肪燃焼作用のある脂肪組織)の活性化による減量効果が報告されています。
◾️GLP-1
糖尿病薬として保険適応のある薬剤です。
[作用の仕組み]
胃腸の運動をゆっくりにする作用・脳の満腹中枢を刺激作用→食欲抑制→体重減少
胃腸の運動をゆっくりにする→食べ物がゆっくり流れ糖の吸収が穏やかになる→血糖値の上昇がゆっくりになる
膵臓のGLP-1受容体に結合してインスリンを分泌させて血糖値を下げる
[副作用]
便秘、吐き気、膨満感、頻脈などがあります。
体重減少作用がある薬剤で、糖尿病合併の肥満症には良い適応となります。
現在処方可能なGLP-1薬剤は、糖尿病のない肥満症には保険適応がありません。
副作用や薬剤の安定供給の観点から糖尿病学会、製薬会社から注意喚起が出ておりますので、当院ではGLP-1の自由診療を行っておりません。
[GLP-1の薬]
適応:糖尿病
内服薬:『リベルサス®』3mg、7mg、14mgの3規格あります。
注射薬:1回/日『ビクトーザ®』
1回/週『トルリシティ®』、『オゼンピック®』
[GLP-1+GIPの薬]
適応:糖尿病
注射薬:1回/週『マンジャロ®』
肥満症治療薬としてのGLP-1
オゼンピックやリベルサスといったGLP-1と同じ成分(セマグルチド)の週1回注射製剤『ウゴービ®皮下注』が登場する予定となっております(時点では処方できません)。
【追記】 より保険適応となりました。 しかし、厚生労働省より最適使用推進ガイドラインを満たす施設でのみ処方可能と通達があります。
①常勤の医師が日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本内科学会の専門医を有している。
②上記学会から教育研修施設として認定された施設である。
当院では①を満たしておりますが、②を満たしておらず、ウゴービ(糖尿病適応のオゼンピックの抗肥満薬版)、ゼップバウンド(糖尿病適応のマンジャロの抗肥満薬版)の処方はできず、自費診療も対応しておりません。ご了承ください。 ②に関しては大学病院や大規模総合病院の一部で満たしており、該当する方に関しましてはそのような病院にご紹介させていただきます。
適応:肥満症。ただし高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下1または2に該当する場合に限る。
1.BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
2.BMIが35以上
【外科手術】
肥満外科手術として現在保険適応があるのは、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術という、胃の縮小手術となります。
6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない BMI35以上の高度肥満症の方が適応となります。
専門病院での手術となりますので、適応の方がいらした場合は専門病院へご紹介させていただきます。
⑤当院の肥満外来(旧:ダイエット外来)の流れ
⚫︎血圧測定
⚫︎血液検査
・栄養指導
・日々の体重記録
→目標に到達しない場合は、食事療法の強化(フォーミュラ食など)、薬物療法
