全身の糖の流れを知ろう〜「血糖値が下がる」現象とは?糖はどこに行く?
今回は「血糖値が下がる」とき、糖はどこにどのように分配されるのかという点についてお話しします。
血糖値が正常の方は1日を通して血糖値の変動は乏しく、80~120程度で安定していると言われておりますが、糖尿病の方に関しては前回のブログの図でお示しした通り、血糖値は食前/食後で上がったり下がったりしております。
それでは、「血糖値が下がる」という状態は、糖がどのように処理されて、どこに行くのでしょうか?
血糖値を下げるためには、血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンがしっかり働く必要があります。
図1で体内の糖の流れをお示しします。
食後、腸から栄養が吸収され、糖は膵臓からのインスリン作用により、肝臓に大部分の糖が取り込まれ、肝臓を通り抜けた糖が筋肉、脂肪、その他臓器に取り込まれ、血糖値が正常化します。
そのインスリンの作用が低下してくると徐々に血糖値が上がりやすい体に変わります。
【インスリンの作用低下とは?】
・インスリンの量が少ない(インスリン分泌低下、図2)
・インスリンが出ているのに効きづらい(インスリン抵抗性増大、図3)
・もしくはその両者合併の場合
一般的に日本を含めた東アジア人はインスリン分泌量が少ない民族と言われており、1970年代以降の食事の欧米化、車保有の増加が背景にあり、軽度の内臓肥満によりインスリンが効きづらい体質になり(医学的にはインスリン抵抗性の獲得と表現します)、血糖値が高い人が増えてきたと言われております。
そのため、日本人はインスリンの量が体質的に少なめで、メタボも合わせ、図2・3の病態を併せ持つことにより高血糖になりやすくなっていると言えます。
次に血糖値が上がってしまうと体にどのような影響があるかについてもお話します。
【高血糖の悪影響について】
①血管が詰まりやすくなる
②栄養不良
(血糖値が高いとインスリンの作用が低下し血中に糖が交通渋滞(血糖値が高い)を起こし細胞が栄養不足になり、やせる)
③免疫機能の低下、炎症の悪化:感染症が重症化しやすくなる
④傷が治りにくくなる
⑤脱水になりやすい
⑥血液が固まりやすく、血栓ができやすい
いずれも、なかなか心配になる症状や合併症かと思います。
少し高い血糖値が短期間続いただけで上記の悪影響が出るわけではなく、高い血糖値が長期に続く悪影響が出てきてしまいます。
【治療の流れ】
「体調、生活習慣の確認」→「臓器の状態・合併症・病態(図2・3)の確認」→「一人ひとりの数値目標の設定」を行い、「治療(食事療法、運動療法、内服薬、注射療法)方法を相談していく」といった流れになります。
自覚症状に乏しいからこそ、健診などで早めに血糖値が上がってきたことに気づき治療を開始することが重要になります。
次回以降、血糖コントロールが悪化してしまう原因についてや合併症についても取り上げようと思います。



