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HbA1c②血糖値の目標値はどれくらいにしたら良いか?


今回は血糖値の目標値はどれくらいにしたら良いか?
みんな同じ目標値なのか?
病状によって違うのか?
などについてお話しします。

糖尿病の数値が悪い(コントロールが悪いとも表現します)状態が長期に続く、全身にさまざまな合併症(神経障害、網膜症、腎症、動脈硬化)を起こしやすくなります。
【第1目標】その合併症を発症しないようにする。
【第2目標】合併症が始まっても、重篤な身体損傷(壊疽、失明、透析、心筋梗塞/脳梗塞/足の動脈閉塞等)にならないように努める。

合併症を進ませないためにはより早期に血糖コントロールを良くして、その状態を長く保つことが望まれます。

それでは、血糖値は下げれば下げるほど良いのか?

ジェットコースターに乗る血糖値のイラスト過去の大規模研究などから、血糖値をしっかりさげた人(6%未満)の方が、ゆるく下げた人(HbA1c7~7.9%)よりも、脳卒中や心筋梗塞による心血管死亡率が上昇する結果となりました。
それらの研究から血糖値をしっかりさげた人の方が、重症低血糖が多いことも分かりました。
低血糖により交感神経(脈拍を上げたり、血管を収縮される)活動が上がり、凝固異常が起こり、心血管トラブルが起こりやすいことも分かってきており、血糖値をしっかり下げた人たちの心血管死が増えた原因として低血糖がかかわっていると考えられています。

では血糖値は少し高いくらいで良いのか?というと、そうではありません。

上記の研究などからも、糖尿病になってからの期間が短く、心筋梗塞・脳卒中を既に起こした人でない場合は、しっかり血糖値を下げた方が大血管障害を予防できることが示されています。

「年齢、合併症、動脈硬化の程度によって、個々に目標値を設定する」というのが、現在の標準的な考えとなっております。
具体的には以下の通りです。

◾️血糖コントロール目標 熊本宣言2013

2013年の日本糖尿病学会年次学術総会で熊本宣言2013として以下のような目標値が示されました(一部改変)。正式なものは「熊本宣言2013」で検索ください。

  • 血糖正常化を目指す際の目標:HbA1c6%未満
    食事運動療法のみで達成可能な方、薬物治療においては低血糖の副作用なく達成可能な方向け(主に若年者)
  • 合併症予防のための目標  :HbA1c7%未満
    HbA1c7%未満に相当する血糖値は、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満となります。 HbA1c7%以上、空腹時血糖値130以上、食後2時間血糖値180以上が続くと合併症発症リスクが上がると言われております。
  • 治療強化が困難な際の目標 :HbA1c8%未満
    低血糖などの副作用、その他の理由で治療強化が難しい場合(主に高齢者、心血管トラブル後の方、低血糖になりやすい方)

◾️高齢者糖尿病の血糖コントロール目標

高齢者は、重症低血糖リスクが多い、腎機能低下による薬剤蓄積、認知機能低下、筋力低下などによる転倒のしやすさといった問題点があり、2016年の高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会で、高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が示されました(下記簡略記載)。正式なものは、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」で検索してください。

患者の特徴・健康状態として、認知機能やADL(日常生活動作)により、カテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲの3段階に分け、重症低血糖を起こしやすい薬剤(インスリン、SU薬、グリニド薬)の使用の有無によっても、カテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲごとに目標値を設定しております。

例えば、カテゴリーⅡ(軽度認知機能障害~軽度認知症または手段的ADL※1低下、基本的ADL※2自立)の方の場合、
重症低血糖を起こしやすい薬なしの場合は、HbA1c7%未満目標
重症低血糖を起こしやすい薬ありの場合は、HbA1c8%未満目標(下限7.0%)
となっております。
※1手段的ADL(買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など)
※2基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)

低血糖になりやすいインスリンや内服薬が多い方で、HbA1c7%未満になっているご高齢の方をしばしば拝見しますが、そのような方をCGM(持続血糖測定器)で確認すると、夜間に低血糖になっている方がしばしばおられます。
夜間に低血糖になっているHbA1c(自検例)のフリースタイルリブレプロの図

昔は血糖値を下げることに重きが置かれていましたが、ただ一律に下げるだけではいけないことが分かってきました。
今は、リアルタイムCGMや間歇スキャン式CGMなどで血糖値の変動が見える時代になってきました(また後日ブログやホームページ内でご紹介します)。
また、低血糖の危険性が少ない薬もこの10年で増えてきました。

血糖値を 安全に、ちょうどよく下げるを目指して、日々過ごしていきましょう。


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